富士登山 高山病対策
初めて富士登山を計画する方向けに、高山病(急性高山病)の症状・起こりやすい高度・予防・発症時の対処をまとめました。
高山病は「気合い」で防げるものではなく、高度順応と行動ペースが重要です。
結論:初心者の高山病予防はこの3つ
- 五合目で1時間程度ゆっくり過ごす(高度順応)
- オーバーペース禁止(息が上がる前にこまめに休憩)
- 水分補給(少量をこまめに)+冷え対策
高山病とは(急性高山病)
標高が高くなるほど気圧が下がり、体に取り込める酸素が減ります。その結果、血中の酸素も低下します。
富士登山で起こる高山病は、普段の生活から急に高地へ移動することで起こる「急性高山病」が中心です。
つまり高山病とは、低圧・低酸素に身体が順応できず、さまざまな症状が出る状態です。
高山病は、誰にでも起こる可能性があります。
発症しやすい高度(目安)
個人差はありますが、一般的には標高2,000m前後から発症しやすいとされます。
体調・睡眠不足・疲労・年齢など条件によっては、1,500m程度でも症状が出ることがあります。
富士スバルライン五合目は約2,300m、鎌岩館は七合目で2,790mです。
そのため、五合目での高度順応と、七合目到着後の休息が重要になります。

主な症状(軽度〜重度)
富士登山で多いのは、いわゆる「山酔い」と呼ばれる軽度の高山病です。
例:頭痛、倦怠感、吐き気、食欲不振、めまい、耳鳴り、睡眠障害など(風邪・二日酔いに似ています)。
そして注意点は、軽度のまま終わるとは限らないことです。まれに重症化して、危険な状態に陥る可能性があります。
危険サイン(無理は禁物)
・歩き方がふらつく/真っすぐ歩けない ・意識がぼんやりする/反応が鈍い
・安静にしていても息苦しい/咳が止まらない ・唇や顔色が明らかに悪い
このような場合は高度を上げず、下山・救護所への相談を最優先にしてください。
症状を甘く見て無理をしないことが大切です。
予防法(確率を下げるコツ)
予防は「発症確率を下げる」ためのものです。
下記を守っても、絶対に高山病にならないわけではありません。
下界~五合目まで
- 前日はしっかり睡眠を取り、登山当日に疲れを残さない。
- 五合目で高度順応のため、1時間くらいゆっくり過ごす。
登山中
- オーバーペースにならないよう、意識してゆっくり登る。
- 歩いては休み、歩いては休み、こまめに休憩を取る。
- 呼吸が浅くならないよう、深く大きく呼吸する。
- 水分を普段より多く、少量をこまめに摂取する。
- 飴などで糖質(炭水化物)を適度に摂る。
その他(初心者が落としがちなポイント)
- 身体を冷やさない(冷えは体力を削ります)。
- 腹部を締め付けない(ズボン・リュックのベルトに注意)。
- 暴飲暴食は避け、消化器の負担を減らす。
- 必要酸素量を増やさないため、余計な運動は避ける。
- 心配な方は「簡易酸素ボンベ」を準備するのも一案(あくまで補助)。
- 途中の山小屋で長めに休憩し、時間をかけて高度順応するのも有効。
- お子様連れは、お子様のペース・体調変化に特に注意。
- アルコール、睡眠薬は呼吸を抑制しやすく、悪化要因になり得るため注意。
- 女性で生理時に登山する場合、鉄不足による貧血が心配なら事前に対策を。
- 妊娠中の登山は体への負担が大きく、基本的におすすめできません。
七合目の涼風×標高2,790mは、高度順応と暑さバテ回避に適した環境です。
午後の早めのご到着とご休息で体調を整えていただくことで、翌朝の登頂の成功率を高めていただけます。
事前のお手配は 富士山 山小屋 予約(公式) からお願いいたします。
もしも発症したら(最重要:高度を上げない)
どんなに軽い症状でも気付いたら、その場所より高度を上げないようにし、回復してから行動します。
症状の改善がみられない場合は下山しましょう。無理は禁物です。
頭痛薬などについて:
服用で症状が一時的に治まることがありますが、酸素不足が解決したわけではありません。
「薬でごまかして登る」のは危険です。薬の効果が切れた時点で悪化する場合もあるため、慎重に判断してください。
持病・既往症がある方へ
高山病は誰にでも起こり得ますが、下記のような持病・既往症のある方は特に注意が必要です。
- うっ血性心不全
- 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫・慢性気管支炎など)
- 呼吸不全
- 高血圧
- 貧血
- その他、呼吸器系・循環器系の疾病など
該当する方は、事前に担当医・かかりつけ医へ相談のうえ計画してください。
いざというときは(救護所)

山梨県救護所
鎌岩館のすぐ下には、7月1日~9月10日まで「山梨県富士山救護所」が開設されています。
登山中に気分が悪くなった/転んでケガをした等の場合、救護所で応急手当を受けられることがあります。
救護所には直通電話がありません。緊急時は最寄りの山小屋に助けを求めるようにしてください。
この他にも、吉田口・河口湖口の八合目にも救護所が設けられています。
よくある質問(FAQ)
Q. 高山病はいつ起こりやすいですか?
A. 五合目(約2,300m)到着後や、登山開始からしばらくして出ることがあります。睡眠不足・疲労・オーバーペースが重なると起こりやすくなります。
Q. 五合目でどれくらい休むべきですか?
A. 目安は1時間程度です。焦らず高度に体を慣らすことが重要です。
Q. 酸素ボンベは必要ですか?
A. 不安な方の「補助」としては一案ですが、根本対策は高度順応とペース管理です。息切れを我慢して登るのは避けてください。
Q. 頭痛薬を飲んで登っても大丈夫ですか?
A. 痛みが減っても酸素不足が解消したとは限りません。薬で無理をして高度を上げるのは危険です。体調を優先してください。
Q. 下山すべきサインは?
A. ふらつき、意識のぼんやり、安静でも強い息苦しさや咳などがある場合は高度を上げず、下山・救護所相談を最優先にしてください。


